バタバタと帰り支度をするオーレリアン。
言った通り、小鳥が持っていた荷物を全部引き受けて先に店から出ていった。
「あ……いっちゃった」
あからさまにしょんぼりしている小鳥をフェオドールは怒りとは別の感情で睨みつける。
その視線に気づかない小鳥はグラスを弄りながら俯いた。
「……マドモアゼル」
呼び掛けても返事はない。
フェオドールはカウンターに小鳥の飲み代を置くと、無理矢理彼女の腕を引いて店から連れ出した。
「やっ…はなして…!」
「……」
無言を貫いて大通りへ出る。
フェオドールはタクシーを呼んだ。
ガラガラと黒ヒョウが引く車が二人の前に停車する。
フェオドールはそのドアを開けて小鳥を乱暴に押し込み、自分も乗り込んだ。
「きゃ…!」
押された勢いで体勢を崩す。
座席に倒れそうになった瞬間――。
「っ……危ない!!」
グイとフェオドールの腕に支えられる。
「………気をつけて」
「あ……」
貴方が押したからだ、と責めることだってできたのに、小鳥は至近距離まで近づいたフェオドールの顔を悲しげに見上げることしかできなかった。



