泣いていた、というセリフに反応し顔をしかめる。

フェオドールはミロスラフを睨んだ。

「……どういうことだ?」

「さっきフェオの家に遊びに行ったんだよ。お茶菓子持って。それなのに、君はいないし、フィアンセちゃんは子供の世話に掃除に洗濯にって忙しくて全然構ってくれないし。つーまーんーなーいー!」

「……戻る」

「えっ!僕のため!?」

「違う」

「だよね~。ゴメンゴメン、冗談だって。そんな怒んないでよ」

親友に肩を叩かれながらフェオドールはつけ髭と眼鏡を外した。

「うん。いつものフェオになったね。やっぱ色男はそうでなきゃ。ダサ眼鏡なんて似合わない」

「……これはノエルが選んでくれたんだ」

「え?ノエルって、君の息子の?あのめっちゃ可愛い天使なキューピッド?」

自分の息子の愛称がキューピッドになりそうだと頭を抱えつつ、フェオドールは話を続ける。

「……この前、一緒に眼鏡屋へ行った時、どれがいいか悩んでいたら、あの子がこれを指差したんだ」

「マジかい。フェオにこんなダサい丸眼鏡チョイスするなんて息子ちゃんもなかなかやるな~」