「フェオさん、話ってなんですか?」

彼お気に入りの花園に来たものの、小鳥に椅子を勧めてから一向に話し出さないフェオドール。

見兼ねた小鳥が目の前に座る彼に自ら話を切り出す。

すると、フェオドールはピクリと反応してゆっくり息を吐き出した。


「……今日、俺のマネージャー…ミロから聞いたんだが…」

「はい」

「……つい最近、ヨーロッパにいる俺の師匠が……死んだらしい」

「えっ」

フェオドールのヴァイオリンの師匠が急死した。

ミロスラフから、そう教えられ落ち込んでいたフェオドール。

「自ら命を手放したそうだ。恋人が亡くなったから……。まあ、後追い自殺なんて、闇人にはよくある話だ」

永遠を生きることができる闇人にとって、死は迎えるものではなく自分から招くもの。

「……よくある話でも…悲しいです」

小鳥が顔を曇らせたのを見逃さずにフェオドールはハッキリと言った。

「君が悲しむことはない。それよりも……聞いてくれ」