(プロポーズ、か…)


考えたこともないと言ったら嘘になるが、フェオドールはあまり真剣にそれと向き合ったことがない。

なのでルカ達から、軽くプロポーズしそうだと言われたことに内心ドキッとしたようだ。

小鳥を柩に寝かせ、様子を見ながら思考する。


(もし、小鳥にプロポーズするとしたら……どうする?どう話を切り出せばいいんだ…?シチュエーションは?何か、特別なものにしなければならないんだろうか…?)


恋愛経験は多くとも、結婚まで持っていけそうな相手は小鳥が初めてだ。

恐らく、最初で最後だろう。

そう理解しているからこそ慎重になってしまう。


(彼女のフィアンセとして、いずれしようとは思っていたが……)


今回の件で、いかに彼女が自分にとってなくてはならない存在か思い知った。

今が丁度良いタイミングだ。

早くなどないはず。

だが、しかし。


(……まだ…心の準備が…)


そもそも、どう伝えるのかという具体的なイメージがない。


「………ハァ…」

「…フェオ、さん?」

「ああ、すまない。何でもないから」

ボンヤリと目を開けた小鳥の頭を安心させるように撫でて柔らかな笑みを作る。

悩んだ末にフェオドールは結論を出した。

ここは一つ、兄弟を頼ってみようじゃないか、と。