「大丈夫だ。全て、わかる」

自信に満ちた瞳でニッと微笑むフェオドール。

そんな兄の表情を見てルカはようやくホッとした。

「マジかぁ~。良かったー。あ、オーレリアンにも教えなくちゃな。あいつが一番心配してたし」

「黙っといた方が面白そうな気もする」

カロンのぼやきにルカが顔をひきつらせる。

「カロン、お前ってさ、実はオーレリアンのこと嫌いだろ」

「んなわけねーし。ダーイスキだぜ?」

「嘘クセー」

「……オーレリアンには俺が後で直接話す。だから、ルカは何もしなくていい」

そう結論付けてからフェオドールは再び廊下を歩き始めた。


「なあ、血を飲んだくらいで記憶って取り戻せるもんなのかな?」

「さあな。まあ、なんにせよ小動物のおかげってことで。後で崇めとくか」

「小鳥…大丈夫かな…」

「フェオにまかせとけばヘーキだろ?なんたってあいつはクラヴィエ家で親父の次に女に尽くす生き物だから」

「……似てるよな。父さんみたいにプロポーズも早そう」

「だな。さらっと言って相手を困らせるタイプだぜ絶対」


後方で弟達が言いたい放題言っているのを沈黙して聞いていたフェオドールだった。