「血を吸い過ぎた。今、部屋に送り届けるところだ」
「ホントだ。小鳥から血の匂いがする…。フェオ、小鳥が抵抗しないからって調子に乗りすぎ!」
ルカに説教されてしゅんとなるも、フェオドールはすぐにいつものポーカーフェイスを取り戻す。
そして弟達に重要なことを報告した。
「……マドモアゼルの血を飲んで、記憶が戻った」
「えっ……フェオの記憶、復活!?」
ルカの大声が廊下に響く。
フェオドールは驚いている弟にゆっくり頷いてみせた。
「おいおい、ちょっと待てよ。早くね?もうちょい記憶復活に時間かかっても誰も怒らねーぞ?」
カロンが冗談のような発言をする横で、ルカが不安げに尋ねる。
「しっかりちゃんと全部思い出したの!?どっか抜けてない!?」
マイペースなフェオドールのことだから、アバウトに思い出しただけで良しとしていそうだ。
だが、今回に限ってルカの心配は取り越し苦労に終わった。