快い許可を得てフェオドールが小鳥の手を取る。

血が滲む指先に唇を寄せて、彼はそっと傷口に口付けた。


「んっ…」


チュッと音を立てて吸われる度、小鳥の口から声が零れる。

「フェオさん…」

少しだけと言いつつ夢中になっているのか、一向に唇を離す気配がないフェオドール。

とうとう彼は小鳥の指先を口に含み、丁寧に堪能し始めた。

「やっ、あの……もう…!」

流石に少しで終わりそうにないと察した小鳥がやめるように促す。

するとーー。


「……君が俺を愛する限り……俺は、君のもの。君を悲しませることは…決してしない」


「え……」


吸血を中断し、いつかの誓いを口にしたフェオドール。

小鳥の目が大きく見開かれる。

「すまない……俺は誓いを…守れなかった」

真っ直ぐ愛しい少女を見つめ、悔しげに揺れる青い瞳。

その表情に小鳥は興奮した。

「フェオさん……記憶が…!」