「小鳥っ…」

答えを聞いたフェオドールが安心した子供のような表情で彼女を抱きしめ返す。

「うわ、なんか妬けちゃうな。引っ掻き回してあげようと思ってたのに」

本音を吐いた白魔の声は二人に届いていないのか、彼らは幸せそうに抱きしめ合ったまま。


「……こういうのをバカップルって言うのかな?」


ちょっとわからない世界だ。

一歩二歩と彼らから距離を取って白魔は思う。

自分にもあんな幸せそうな空気を共有できる相手が現れるのだろうか。

愛しい相手が見つかるだろうか。


「君なら…良かったのにね」


小さく零れ落ちた彼の思いは向けられた当人に伝わることなく、ひっそりと彼自身の胸に仕舞われた。