「なんで味覚破壊兵器がここにあるんだ!」

後日、キッチンにてフェオドールと小鳥が梅干しを食べていたら、オーレリアンが口元を引きつらせて叫んだ。

「味覚破壊兵器?それって、梅干しのことですか…?」

「他にないだろ。味覚をぶっ壊す程の酸っぱさ。梅干しは凶器だって五歳で学習したね」

「美味いのに…」

兄の一言が耳に届き、オーレリアンは苦い表情をする。

「いくら兄様が美味しそうに食べてても、こればっかりは無理!」

とそこへキッチンの扉を開けてルカが顔を覗かせた。

小鳥の周りに兄弟がいるのを見つけ、近寄ってくる。

「なにやってんの?あれ?珍しい。フェオがなんか食ってる」

この時、フェオドールの瞳が悪戯っ子のそれになった。

「ルカ、口開けて」

「へ?」

素直に開けてしまったルカ。

フェオドールは弟の口に梅干しを一つ放り込む。


「んぐっ……すっっっっぺぇー!!!!!!」


「ルカくん!?大丈夫ですか!?」

「あーあ。兄様に遊ばれてやんの」

涙目でルカはゴミ箱を目指した。

ペッと吐き出してからギロリと兄を睨む。

「フフッ」

「笑うなよ!フェオのバカヤロー!!」