恐る恐る言葉にしてしまえば一気に現実味が増した。

「そう…。お前が誘ってるように思うだろうな。いつもより襲われやすくなるんじゃない?」

他人事のように鼻で笑うオーレリアン。

実際問題、彼からしたら他人事なのだ。

小鳥は恐怖に肩を震わせた。

「そんな……どうすれば…」

「簡単だろ」

ハッキリと、力強い口調で彼は言う。


「襲われたくないなら、僕の傍にいろ」


悩むことなどないのだ。


「僕ならお前ごときメスブタの血に我を忘れたりなんてしない」


信じて委ねろ、と。


「護ってやるよ。小うるさい蚊どもからな」


自信満々なオーレリアン。

そんな彼を見つめていると、自然と肩の震えがおさまった。

「…やっぱりオーレリアンさんを選んで良かったです」

「は?」

「とっても心強くて…」

小鳥は照れまじりに微笑む。


(それから…優しいです)


彼からの「護ってやる」の一言が嬉しくて、それだけで安心できる。

「ありがとうございます」

「べっ…つに、感謝とかいらないから。さっさとレジ行けよ。時間の無駄」

「はいっ」

パタパタとレジへ駆けて行く小鳥の後ろ姿を、オーレリアンは熱を帯びた眼差しで見送った。