彼は小鳥のことを「変な女」と言ったが、嬉しかったとも言った。

「ありがと」と照れ臭げに感謝も述べていた。


(いつも平然としているけど、オーレリアンさんは……寂しかったのかな…?)


恋人に理解してもらえない想いを抱えて、悩んで、苦しんで――。

ふと、写真立てを悲しげに見つめていたオーレリアンを思い出す。

儚い笑みを浮かべてマリアンヌに「行ってきます」と言葉をかけていた。

写真の中の母親は微笑むだけで、当然何も答えてはくれない。

止まっているその表情は、ジッと見つめていると笑顔すらも虚しく――悲しく感じられるもので。

強く思い知らされるのだ。

もう写真でしか、この笑顔を見ることができないのだと。


「写真くらい、いいじゃないですか…」

小鳥が口を開く。

語りかけるように。

諭すように。

「だって…マリアンヌさん……お母さんはもう、オーレリアンさんの前で笑ってくれないんですよ…?私やあなたみたいに、生きてオーレリアンさんの前にいないんです。お母さんの笑顔が見たいから写真を持ち歩くのって……そんなにいけないことですか…?」

泣きそうな声で囁けば、元カノの表情が歪んだ。

言い返せずに黙り込む。