軽くノックをしてからガチャリと扉を開ける。
「オーレリアンさん、いますか?」
「…ああ、来たの」
彼はデスクの前に立っていた。
黒い鞄に眼鏡やノートを詰めている。
「今行く。待ってろ」
「はい」
必要な荷物を入れ終わり鞄を持つと、オーレリアンはデスクの上にある写真立てを悲しげに見つめた。
「行ってきます、母様」
小さく笑いかける先には、マリアンヌの笑顔。
(オーレリアンさん……なんだか…消えちゃいそう…)
なぜだか彼の姿が儚く見える。
思わず抱きしめて、守ってあげたくなるような。
しかし、オーレリアンがこちらを向いた時はすでにいつもの堂々とした彼だった。
「行くよ。遅刻はごめんだ」
「は、はい…!」



