(遠いからって…諦めちゃダメだよね)


小鳥はオーレリアンのすぐ横に跪いた。

彼と同じように祈るポーズをとり、目を閉じる。


(マリアンヌさん、天国でオーレリアンさんを見守っていますか?見ていらっしゃるなら、どうかオーレリアンさんの幸せを私と一緒に祈って下さい。苦しんでるオーレリアンさんの心が、いつか救われるように…)


真剣に黙祷していた時だった。


「ん…?うわっ!?お前いたのか!」


隣でオーレリアンが大声を上げた。

かなり慌てている様子からして、今の今まで全く小鳥の存在に気づいていなかったようだ。

小鳥も祈りをやめて目を開ける。

「すみません…お邪魔でしたか…?」

「いや別に……ただ……ちょっと驚いただけだし」

照れながらオーレリアンは立ち上がった。

「まさか一緒に祈ってくれてるなんて……思わなかった」

「え…?」

小さな呟きに目を丸くして小鳥は彼を見上げる。

「普通は傍観しないか?もしくは…気持ち悪がったり」

「き、気持ち悪くなんかないです…!」

「ふーん………変な女」

そう言って柩を機械に仕舞うオーレリアン。


「変だけど……嬉しかった……。ありがと」


そっぽを向いて照れ臭そうに感謝を述べる。

嬉しいと言われて小鳥は安堵し、緊張感のない顔でふにゃりと笑った。

そののほほんとした笑顔をチラリと見たオーレリアンがドキドキしていたなんて、小鳥は知らない。