「オーレリアンさん、失礼します」

コンコンとノックして、オーレリアンの部屋に入った。

今日もまた「遅い!ノロマ!」と罵倒が飛んでくるかと思いきや。

「オーレリアンさん…?」

しんと静かな室内。

オーレリアンの姿は見当たらない。

小鳥は首を傾げて金髪少年の姿を探した。

「オーレリアンさん?いないんですか?」

ごちゃごちゃした機械の林を抜け、部屋の奥へ。

すると次第に、足元がヒンヤリしてきた。


(もしかして…)


マリアンヌの身体を保存しておくための機械から冷気が漏れている。

気づいた小鳥が目にした光景は、まさに想像通りだった。

母親の柩の前で跪いているオーレリアン。

祈っているのか、手を前にして俯いている。


(何を…思ってるんだろう…)


手を伸ばせば触れられる程近くにいるのに、わからない。

横たわるマリアンヌと祈るオーレリアンは一枚の絵画のようで、自分はただ絵を眺めるだけの第三者に過ぎないのだと再認識させられる。

彼との距離がひどく遠い。