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 小鳥の「それ」が始まったと感づいたのはオーレリアンだけではなかった。

ある日の朝方、就寝前の食事を終えた兄弟達が居間に集まっていた時のこと。

人間用のキッチンでご飯を食べ終わった小鳥が自分達の寛ぐ居間に入って来た瞬間、彼らはピクリと反応した。

まずルカが首を傾げながら小鳥に話し掛ける。

「ねえ、小鳥。どっか怪我した?なんかいつもより血の臭いが濃いような…」

「えっ」

ルカの隣に腰掛けようとしていた小鳥はピタリと動きを止めた。

彼女の顔は真っ青だ。

「ふふ、ルカは女の子の身体に疎いね」

「は?」

白魔に笑われ、目が点になる。

「……察しの悪い」

呆れて溜息をつくフェオドール。

「いや待ってよ、なんの話?」

焦るルカに対し、静理が読んでいた歴史書から顔を上げた。

「本当にわからないのかい?」

「バーカ」

オーレリアンに罵られてルカがムッとしていると、カロンがニヤリと笑んだ。

「つまり小動物はあれだ」