「でも、なんで裏庭はちゃんと手入れされてるの?正面は荒れてるのに…」

エレベーターに乗り込んで地下へ向かう途中、小鳥は素朴な疑問を投げかけた。

「ん?ああ、気づかなかった?あの奥にもう一つ墓があるんだよ」

「え!?マリアンヌさんのじゃなく?」

「違う。……白魔の母親の墓、だよ」

「白魔さんの…!?」

エレベーターの揺れを感じながら、オーレリアンは壁にもたれかかる。

「墓があるから裏庭だけは綺麗にしてるんだ。たぶん父様が業者雇って手入れさせてるんじゃないかな。白魔の母親は父様の最愛らしいから…」

彼の話を聞きながら、小鳥は先程もらった薬指の婚約指輪に目をやった。


(最愛、か…)


それは「一番愛している人」ということ。