「でも、お墓に埋めたってことは…クローンの研究は…?」
研究のために遺体を保存していると聞いた。
どういうことなのかと、小鳥はしゃがんでいるオーレリアンの背中を見つめる。
「そのことで、お前に話さなきゃいけないことがある」
オーレリアンはおもむろに立ち上がった。
「僕は…クローン研究をやめる」
目を見開く小鳥。
オーレリアンは小鳥の瞳を直視して続けた。
「自分に問い掛けてみたんだ。研究を成功させた暁には何があるのかって。答えを探して未来を想像したら…虚しいだけだった」
俯き、母親の墓を見る。
小鳥はオーレリアンの美しくも儚い横顔から視線をそらせなかった。
「母様のそっくりを作ったとしても、過去に生きた母様が帰って来るわけじゃない。母様はもう、思い出にしか生きてないんだ」
悲しげに微笑してから、再び小鳥に向き直る。
「闇人にならなかった母様を無理にどうこうしても、償いにはならないような気がする。それよりも、大切な人を守るために僕の能力を使った方が母様も喜んでくれるんじゃないかって…思った」



