「幼稚、かなぁ…?」

自分の趣味というよりも、単にオーレリアンが白いお馬さんに乗ったら可愛いだろうなと思ったからなのだが、本人に言ったら怒られそうなので小鳥は黙っておいた。

「なら、ダメ…?」

「ダメとは言ってない。乗るぞ」

文句を言いつつも小鳥の手を取り、メリーゴーランドに向かう。

「オーレリアンはあれね!あの白いお馬さん」

「………楽しそうだな、お前」

子供連れの家族が多く並ぶ中、オーレリアンと小鳥も最後尾に並んだ。

楽しげに騒いでいる小さい子供達を見つめて、ふとオーレリアンは幼い頃の自分と母親を思い出す。


(家族か…)


昔、隣で自分を守るように手を握ってくれたのはマリアンヌだった。

けれど、今は自分が大切な人を守る立場で小鳥の手を握っている。


(……もう、あの頃には戻れないんだよな…。母様を蘇らせたって…過去には戻れない。なら…)


オーレリアンは小鳥と繋いでいる手に力をこめた。


「今を、守りたい」


「え?」


「いや、何でもない」