小鳥の両手がオーレリアンの背中に回った。

優しく守るように抱きしめ返す。

「ごめんなさいカロンさん。私の血はあげられません」

「………そ。まあ、仕方ねーか。誰かさん、あんたにゾッコンみたいだし」

苦笑するカロン。

するとルカが独り言をこぼした。

「珍しいもん見れた…。まさかオーレリアンが自分から女の子に抱き着くなんて…!」

「フフッ、末っ子の弱点がわかって嬉しいよ」

白魔が腹黒い笑みを浮かべるのでオーレリアンは思いきり睨みつけてやった。

と、不意にフェオドールが小鳥に近づき、真顔でポンと肩を叩く。

「可愛がってやってくれ」

「え、あの…」

「兄様!それどういう意味なの!?」

ぷりぷり怒り始めたオーレリアン。

そんな彼らの横でカロンがルカにコソッと指示を出す。

「よしルカ、今のうちに逃げ――」

「さて、君達。お仕置きの続きといこうじゃないか」

静理の声が聞こえ、ルカがヒッ!と叫んだ。

カロンは冷や汗をかきつつ、恐る恐る兄の顔を見上げる。


この後、カンニングペーパーを没収された二人は、テスト期間まで勉強漬けの日々を送ったのだった。