棒読みで言うと、小鳥の耳元に顔を近づける。
「じゃあな、小動物」
続いて、チュッというリップ音がした。
「ひゃあ…!」
頬への軽いキス。
唇はすぐに離れたものの、それは小鳥の心臓をドキドキと高鳴らせるのに十分なものだった。
満足げな表情でカロンが図書室から出て行く。
未だ落ち着かない胸に手を当てながら彼を見送っていると、オーレリアンにガシリと腕を掴まれた。
「オーレリアンさん…?」
俯いているオーレリアン。
表情がわからないので、小鳥は気になって呼び掛けてみた。
しかし返事が返ってくることはなく、ギリリと更に強く腕を握られてしまった。
「い、痛いです…オーレリアンさん」
やんわりと振りほどこうとした瞬間、腕を引っ張られる。
「あっ…!」
「来なよ」
怒りを孕んだ低い声だった。
一言しゃべったきり黙ってしまったオーレリアンは、小鳥をグイグイ引っ張って図書室から廊下へ連れ出した。



