「では、自分はこれで失礼します。熱は二、三日で下がるでしょうが、もしもそれ以上長引くようでしたらご連絡下さい。往診致しますので」
「ありがとうございました。送ります」
礼を言いながらオーレリアンは、扉を開けて出て行こうとする拓斗の後を追いかけた。
二人、ひっそりとした屋敷の廊下を玄関に向かって歩く。
「……聞いても、良いですか?」
口を開いたのはオーレリアンだった。
「何でしょう」
「どうして…医者に?」
拓斗は穏やかに微笑する。
「単純な理由です。誰かを助けたいからですよ」
「それは……桔梗丸なりの罪滅ぼし、ということですか?」
尋ねた瞬間、彼の表情が強張った。
悲しみを瞳にたたえて拓斗は語る。
「……罪滅ぼし…。確かに、その通りですね。自分の過去の罪が、人助けをすることで少しでも軽くなるならば…」
「ならないよ…」
闇に沈むような声だった。
階段の手前で足を止め、俯くオーレリアン。
ギュッときつく拳を握り締める。
「いくら罪滅ぼしをしたところで、罪を犯した過去は消えないんだっ」



