「覚えておこうねテストに出すよ」と笑顔で言う兄にルカが顔を引きつらせた時、オーレリアンが首を捻った。
「けど、桔梗丸って確か任務に失敗した罪で仲間に殺されたんでしょ?最強とか言われてる割に呆気ないよね。というか、なんで殺しのプロが医者に転職してるの?血迷った?」
「理由は本人に直接聞いた方が早いんじゃないかな。教科書には君の説明以上に詳しくは載ってないからね。謎の多い人物だよ。桔梗丸…瀬女拓斗は」
静理がそう締めくくった後は、しばらく沈黙が続いた。
そうして待つこと十分。
不意にコンコンと居間の扉が叩かれた。
「あ、皆さん、こちらにいらしたんですね」
のほほんとした様子で現れたのは拓斗だ。
相変わらずの緊張感の無さに、オーレリアンは本当に彼が「鬼狩りの桔梗丸」なのかとつい疑ってしまう。



