邪魔になるだろうからと共に入らず、居間で待つことにした三人。
気が抜けてドサリとソファーに寝転がったルカだったが、ふと先程の会話が気になって身体を起こした。
「ねえ、静理。白魔がさ、医者のこと元同胞殺しって言ってたけど…なんのこと?」
「それは僕も気になった。静理、知ってる?」
オーレリアンにまで問われ、静理はやれやれと肩を竦める。
「彼は有名だよ。授業でも教えただろう?“鬼狩りの桔梗丸”」
「なっ!あの医者が!?」
「は?え?誰だっけ?」
首を傾げるルカにオーレリアンは呆れた。
「習っただろ!江戸時代初期に闇人を惨殺しまくった人間の名前だ!」
「はあ!?まさかあの、最強最悪のハンター!?」
驚くルカに静理は強く頷いた。
「そう。彼はもともと人間でね。黄泉帰りだよ。生きていた頃は俺達闇人を抹殺する鬼狩りメンバーの一員だったんだ」
現代とは異なり土葬が多かった過去の時代。
古来から蘇る死体を恐れていた人間は、埋葬する際に死体の骨を折ったり墓石を置いたりすることで死者の蘇りを防ごうとした。
しかし当然、それで全てが防ぎきれたわけではない。
人々は蘇った死者を「鬼」とし、再び殺すことで死者の世界へ送り返そうとしたのである。
「鬼狩りかぁ…。あれ?俺達って“吸血鬼”だよな?なんで吸血鬼狩りじゃないの?」
「ルカ…本当に俺の授業聞いてないんだね。日本人が闇人のことを吸血鬼と呼び出したのは明治以降。それまでは単に鬼という認識だったんだよ」



