罵られてもカロンにダメージはなさそうだ。
ぷりぷり怒る弟を愉快そうに見下ろしている。
「女嫌いとか言ってるけど、あんた童貞じゃねーだろ?前、彼女いたしな」
このポロッとこぼれた発言に、小鳥の胸がズキンと痛んだ。
(え……そうなんだ…。オーレリアンさん、彼女いたんだ…)
いつもピリピリしていてあまり人を寄せつけるタイプじゃない彼のことだから、恋人など未だかつて作ったことがないものとばかり思っていた小鳥。
なんだか裏切られたような悲しさが押し寄せる。
(勝手だな……私)
オーレリアンは何も悪くないのに、勝手に嫌な気分になって落ち込んでしまう心が憎らしい。
(ハァ…)
しゅんとしている小鳥は気がつかなかった。
隣にいるオーレリアンが今にも噛み付きそうな形相でカロンを睨みつけていることに。
「……それ以上しゃべるようなら、刺す」
注射器をちらつかせるオーレリアンにカロンは肩を竦めた。
「おー、怖い怖い」



