それから電車に乗って瀬女家に向かったオーレリアン。
息子から事情を聞いていたアルトの父親、拓斗はすでに往診の準備を終えて待っていた。
「さあ、行きましょうか。案内を頼みます」
にこやかな笑みを浮かべてオーレリアンの隣を歩く。
(これがアホ猿の父親!?似てないにも程があるだろ!)
濃紺の着物に、ふんわりとした明るい茶髪。
長い髪を一本に束ねてポニーテールにしている彼は、優しげで大人しそうな雰囲気だ。
なぜか前髪で左目だけを隠しているが、こういうパターンは大概失明しているからだろうとオーレリアンは思った。
(僕の父様より若く見える…)
子持ちには見えない優男だ。
「お休みのところ、すみません」
ペこりと頭を下げるオーレリアン。
「いえいえ。患者がいるなら休日だろうと関係ありませんよ。それより病状は?熱、と聞きましたが…」
「……実は、僕も詳細は知らなくて…」
昨日からずっと小鳥についていたのは静理だ。
自分の選択を正当化したくて小鳥を見ないよう避けていたオーレリアンには細かい病状などわかるはずもなかった。
「先生……あいつは…治りますよね…?」
掠れた声で小さく問うオーレリアン。
震えそうになる少年の肩を拓斗は優しく叩いた。
「診る前だから断言はできませんけれど、自分が行くからには最善を尽くします。信じて任せて下さい」
「………はい」
拓斗の力強い笑顔を見上げて、ほんの少し心を落ち着かせたオーレリアンだった。



