手早く商品を包んで袋に入れてくれた女性店員が、お釣りと一緒にそれを差し出している。

こちらを見ないようにとの気遣いか、店員は俯き加減だ。

「ああ」

気づいたオーレリアンが何事もなかったような顔でそれらを受け取る。

小鳥は恥ずかしさと気まずさから、彼よりも先に店の外へ出た。


(もうもう!お兄さん達の前ではあんなことしないのに…!店員さんならいいの!?)


ちょっぴり怒っているので頬を膨らます。

すると、オーレリアンの声が聞こえた。

「先に行くなよ。危ないから」

「え?」

聞き慣れた高さの声に驚いて振り返ると、そこには十五歳のオーレリアンが。

「オーレリアンさん…戻ったんですか…!」

「みたいだな。また服を取り替えないと、今度はダボダボだ」

長過ぎる袖をまくりながら近寄ってくる。

「いきなり戻ったんですか?」

「キスした後にすぐ」

「……それは…つまり…」

キスがきっかけで戻ったのだろうか。

「なんだか童話のお姫様みたいですね。王子様のキスで呪いが解けるんです」

クスッと笑いながら小鳥が言うと、オーレリアンはあからさまに嫌な顔をした。

「なにそれ。お前が王子で僕が姫ってこと?ふざけんな。逆でしょ普通。僕が呪いにかかった王子だろ」

「大丈夫ですよ!オーレリアンさんは私より可愛いですから、お姫様できます!」

「……それ、フォローしてるつもり?キレるよ」