檸檬色





「美穂はね
親から捨てられて、親戚の家をたらい回しにされてきたの」



涙が止まらなかった
悲しいとか辛いとか わからないけど

なにが涙になってるのかわからないけど


ずっと涙が止まらなかった




「あと……
美穂の彼は、詩乃が産まれる半年前に
事故で亡くなったの」



私を産んでくれた美穂さんって

どれだけ辛かったんだろう

どれだけ寂しかったんだろう




「だから、お母さんが詩乃のこと
育てたのよ」



「…うん」



「でも、今はそれでよかったって思ってる
お母さん、詩乃を育てることができて
嬉しいし
血が繋がってなくたって
詩乃は私の娘
本当に可愛くて
大切なの」




お母さん…