檸檬色





「いーから!
バス代も浮くし!
あ、おれタカシだから」



いや、名前とか聞いてない…


「いや、本当に大丈夫です」


「名前なに?」


「いや…あの」


「名前、教えて!」

「……夏稀」


「夏稀ちゃんね!オッケー」



そう言うとタカシが腕をガッシリ掴んできた


怖い……


「ちょっと!やめて!」


「いいからいいから
タダで帰れるよ」



足がすくんで動かない

引こずられるように、シルバーの車に近づく