「瑞希ちゃん……大丈夫って言っただろ?」
「ごめんなさい。やっぱり心配で。どうしても自分の目で見ないと」
親父に返答しながらも、俺だけを見て歩み寄って来る瑞希。
「……時田君。無事で、良かった……」
俺は無意識にその涙を拭おうと手を伸ばした。
心配かけて、ごめんと。
だけど、瑞希の薬指に光るものを見て愕然とする。
いや、圧倒的で絶対的な感情が支配する。
君は異常者だ。
制御できなくなる。
「触るなっ!」
現実を見せつけられるたび、俺は逃げる。
逃げられるはずがないとわかっているのに俺は逃げてしまう。
そして、瑞希を傷つける。