でも………
「歩くんのことが昔からずっと大好きだよ」
どうして、こうも無神経なのだろう。
どうして俺をここまで情けなくて格好悪くて最悪な幼馴染にさせてしまうのだろう。
これが最初で最後。
「瑞希」
「何?歩くん」
そう、きっと後にも先にもこの一度だけ。
「……結婚、おめでとう」
嘘をつく。
最初で最後の嘘を。
彼女の微笑む唇にそっと口付けをした。
彼女は最初で最後の嘘に気付くのだろうか。
吹き抜ける風が、涙の跡を俺に強く意識させた。
きっと、彼女の笑顔よりも何よりもずっと。
俺の記憶にこびり付くのは。
この感覚なのだろう。
そんな予感がした。
【完】

