最初で最後の嘘





「……なぁ?俺のこと嫌いだろう?」



「ううん」



「お前は、うん、って言ってれば良いって言っただろ!?」



「いや」



「嘘つき。嫌いなくせに」



「ううん」



「……嘘つき……」



「ううん」



「瑞希は大嘘つきだ」



「ううん。歩くんが私に嘘つかないのと一緒、私は歩くんに嘘ついたりしないよ。大好き」



 そう言って、俺に笑いかける瑞希に視界が揺れる。


 慌てて、空を仰いだ。


 雲がゆったり流れていく様は目を少しでも離せばその変化に気付かない。


 俺が目を背けていた間に、気付かぬうちに、こんなところまでたどり着いてしまった。


 瑞希に嘘をついたことなんてない。


 そうだ、彼女の目を見ながら嘘なんて俺にはつけない。


 真っ直ぐな瞳にいつだって正直にいたい。