最初で最後の嘘





「奏兄は誰にでも優しいだけだ。お前が特別ってわけじゃないんだ」



「うん」



「瑞希みたいな平凡なのが嫁だってわかれば、女がますます寄ってくるだろうな」



「うん」



「それで浮気されてお前は泣くことになるんだ。お前は身も心もズタズタにされ……」



「そんなことない。奏くんは私を悲しませたりしない」



「だから、うるせぇんだよ。お前は、うん、しか言わなくて良いんだ。素直に頷いておけば良いんだよ」



 瑞希は奏兄といても幸せになれない。


 俺の方がずっとずっと瑞希を想っている。


 俺の傍にいてくれるなら、笑顔が見れなくても憎まれ続けても。


 それでも、彼女を愛し貫ける。


 彼女のためだけに生きていける。


 傍にいてくれさえするならば、俺のすべてを捧げる。


 自分の全てをかけて、彼女のことを幸せにする。


 瑞希以外に何もいらない。


 望むものは、いつでも瑞希だけだった。