最初で最後の嘘






「なぁ。…………奏兄との結婚なんてやめておけ」



 幼い頃のように大声で泣きたい衝動に駆られる。


 このまましゃがみ込んで膝を抱え込んで、泣いて。


 このドロドロとした心を綺麗に流してしまいたい。



「奏兄と結婚なんてしたって幸せになんかなれない」



 歪んだ愛情しか俺は瑞希に向けることができない。


 でも、それは、本当に愛しい存在だから。


 憎しみで彼女を殺せてしまえれば楽なのに。


 きっと、俺は奪われるならこの手で彼女を殺してしまう。



「そんなことな……」



「お前は黙って俺の言うことに、うん、って言ってれば良いんだ。うるせぇんだよ。奏兄、奏兄って昔から」



「うん」



 本当にバカな女。


 何もかもにイライラする。


 彼女の心がわからない。