「瑠璃、風邪引くぞ」




「陽くん、」




なんか、珍しい人だ




陽くんと話するの滅多にないから




仲は良かったけど椎や湊よりはちょっと距離がある




だから、あたしは陽くんを呼び捨てに出来ない




「瑠璃とこーやって話すの変な感じだな」



「ほんとだね。陽くん、どこかあたしと距離開けてるから」




あたしがそう言うと顔を歪ませる陽くん




「陽くんはあたしが嫌いなんでしょ?」




ずっと思ってたんだ




どうしてあたしと距離開けるのか




あたしに何があってもどうでもいいような態度




冷たい感じだった




だから、ずっと引っかかっていた



仲はいいって思ってるから




「嫌いじゃねーよ。あいつらが思ってるのと同じように俺も瑠璃を大切だと思ってる。
でも、最近瑠璃がどこかに行きそうでこぇーんだよ。」




と、初めて聞く陽くんの本音。




陽くんは周りには敏感




それは、自分が思ってる大切な人たちほどすぐに気づくし敏感




だから、あたしにも気がついていたなんて思いもしなかった






「瑠璃がいなくなったらどーしよって思えば思うほどどう接すればいいか分かんなくなんだよ」




そう言って頭をクシャっとする陽くん




陽くんは優しい人




だから、1番傷つきやすい





そんなあなたにあたしは最大の嘘を今から吐く



「陽くん鋭いね。
あたし来週から留学に行くの。」



ほんの少しの間の嘘。





くだらない嘘だけど、最後まで隠していた秘密を秘密にさせて




「でも、いなくなんないよ」




でも、許さなくていいよ。





「そう聞いて安心した。
今まで悪かったな。」




そう言って笑ってあたしの頭をクシャクシャと撫でる陽くんに酷く胸が傷んだ。