彼女はあたしがあの世界に踏み出すきっかけとなった少女




真瀬 愛菜





あたしの2つ年下で学年で言えば中学3年生





ま、彼女も病気持ちで学校に行ってない





そう、あたしのもうひとつの秘密は






愛菜に関する仕事





ちょうどあたしも病室に行こうと思ってたから





ナイスタイミングだわ







「戻って来たんだね」




「うん。そろそろ1度戻らないとやばいと思ってね」




「進行してるの??」



「脳にまで腫瘍がね
だから、最近記憶がなくなること多くなった」






愛菜と出会ったのは




6歳の頃だった。




あの時、あたしはいきなり龍たちの前で倒れたんだ



すぐに病院に搬送されて、病気が発覚。



もちろん治療と手術のために入院…。




龍たちにはこの病気の事は絶対秘密にしてってお母さんにしがみついたのを覚えてる




うまく誤魔化してって頼んだ




お母さんもそんなあたしに同情したのか




頷いてくれて、肺炎だとみんなに"嘘の情報"を





言ってもらった




今思うとすごく残酷なお願いをしたと思う





きっとそう話した後





お母さんはお父さんの胸の中で泣いたんだろうな