「…ずっと言わないつもりだった。だけどもう隠せないね、圭はわたしとお父さん…伊藤家の子どもに間違いない。」










「じゃあ…それって…。」










「ただ、玲蘭の本当の両親はもうここにはいないのッ…事故で亡くなってるの。」










でも、僕の記憶では玲蘭とはずっと一緒にいたはずなのに…なんで?










母さんが話す内容をただ何も言わず聞くことしか今はできない。









「っ…玲蘭の両親とお母さんたちは中学生からの同級生なの…ひっく…玲蘭の両親も看護師で、職場も同じで…ずっとずっと4人で一緒にいて…。」








母さんがポロポロと涙を流している…初めて泣いてるのみたかもしれない。









「玲蘭が産まれたあと、俺たちの妊娠も分かったんだ…年子で本当にお姉ちゃんと弟みたいに小さな時から圭と玲蘭は一緒にいたんだ。」








母さんの涙が止まらなくなり、父さんが母さんの背中をさすりながら続きを話してくれる。








そう…なんだ…僕の記憶ではお姉ちゃんとずっと一緒。









『お姉ちゃん』がお姉ちゃんだっていうことに今まで何も疑問は抱かなかった。









何回も姉弟じゃなければよかったのにとは思ってきたけど……まさか本当にそうなるなんて。








「玲蘭も重症で生存できる確率はものすごく低い状態だった。外傷がひどくてICUで数週間治療していたくらいなんだよ。意識を取り戻してくれてほっとしたのも束の間、心的外傷ストレスが原因になって、事故に合った日からそれ以前のことの記憶があやふやになってしまったんだ。」