もしかして…今見てるものはわたしが小さい頃の記憶がないのと関係があるのかな。
気分が悪くなるだけで…思い出そうとしても全然分からない。
ただこの場所はいやだ。
苦しくて…寂しい気持ちになる。
「やっ…もう…おねが…や、め……て。」
「…う…たの?お姉ちゃ……!!」
ふと、暖かいなにかがそっとわたしに触れた。
パチッ。
「…っ!?はぁっはぁっ…。け、い。」
「お姉ちゃんどうしたの!?」
目を開けると、すごく心配そうな顔をした圭がいた。
「気分が悪い夢を…見て…。」
あぁ…嫌な夢だった。
「そっか辛かったね。すごくうなされて苦しそうで、途中から泣いてたから声かけてたんだけど…。」
「…うん。」
「もう大丈夫だよ。」
涙を拭ってくれて、ふふっと笑ってくれる圭。
圭は本当にいつも優しいなあ。
しっかりしたいのに、いつもその優しさに甘えてしまう。
「僕がず〜っと、いつでも隣にいて離れないから安心して?」
「ありがとう、圭も疲れてるのにごめんね。」
「僕はお姉ちゃんと一緒なら疲れるんじゃなくて癒されてるから大丈夫!お姉ちゃんはあいつのせいで疲れが溜まっちゃってるのかな、もう少し休んでて。」
「あはは。ありがと、圭。」
またすぐに眠くなってきた。
やっぱり側にいてくれて一番ホッとするのは圭だなあ。
周りからみたら圭のほうが断然しっかりしてるからわたしが妹みたいだよね。
なんてことを考えていたら再び眠りについていた。
ーーーー…。
「…ん。」
カーテンの隙間から朝日がさしている。
「っふわぁっ〜…よく寝たぁ。」

