「……」

言われて思い浮かぶ映像

確か、小学生でももてていた悠が中学生になってさらにもて始め、家まで押しかけてきた女子に告白されてる現場を目撃して……

『ゆずがいるのに…悠ちゃんなんてきらい。大嫌い』

って大泣きして首に下げていた大事なネックレスを悠に投げつけたんだ。

どうりであんなに探しても見つからないはずだ。

そういえば、その頃から悠に苦手意識が出て距離を置くようになったんだ。

どんどんピースが埋まっていく。

私、悠が好きだったんだ。

自分だけの悠じゃ無くなるのが悲しくて、ショックで好きだった記憶を消していたらしい。

あれ⁈

悠に投げつけたネックレスってどこに行ったの⁇

もう、捨てられてるかも。

あの時の小さな私は、その時の悠の気持ちなんて考えてもいなかった。

今、思い返せば、あの日の悠の顔はとても悲しそうだった。

大嫌いって言ったから…

女誑しになったのなら私のせいだ。

本当は、ずっと好きだったのに…

認めたくなくて…きらいなふりをしてきた。

でも

気づいちゃった。

私は…

悠が

好き

ずっと好きだったの。

だから…

彼氏ができても本気で好きになれなかった。

キスは許しても

……体を差し出せなかった。

悠じゃなきゃイヤ。

認めてしまうと昨日の夜の出来事を拒まなかった自分に納得してしまう。

無意識に……

悠になら何をされても構わないって思ってたんだ。

思い出し、頬が熱くなってくる。

不思議がる父と母をその場に残して

「ごちそうさま」

急いで階段を駆け上り、部屋の中に駆け込み鏡の前に立った。

そして、そっと人差し指で唇をなぞり膨らみを確かめれば唇はジンジンする。


キスの合間に何度も吸われ、甘噛みされた唇はいつもよりぷっくりと腫れている気がする。


そして、もう一箇所疼く場所を確認する為にロンTを脱いだ。

胸の膨らみに残る痕は内出血していて青みがかっている。

その痕を悠がしたようになぞれば、疼く痕。

肌に触れた唇の感触が生々しくよみがえる。

時折、肌にかかる吐息

そして、温もりが……

鮮明によみがえった。

この痕がずっと消えなければいいのに…