今日は俺の誕生日。
朝、雪華にはなーんも言われなかった。
帰りも特に何も。
最近バイト入れ過ぎてデートの回数が減ったことが嫌だったみたい。
でも、2年後のためにもお金を貯めなきゃだった。
俺のプロポーズ計画。
今年はネックレス、来年はピアス、再来年は指輪。
再来年俺は18歳になる。つまり結婚可能になるわけで。
18になってすぐプロポーズする!そう決めた。
きっと俺は雪華から離れることなんてできないんだから。

しかーし。結局夜まで待っても何も言われずとうとう自分から誘った。
雪華が選んだ場所はゆり公園。
Niceだ雪華!初めてをこなした場所で俺はプロポーズを!!
夜の道は暗かった。緊張のせいか道に迷い雪華を待たせてしまった。
大失態だ!!雪華に話しかけベンチに座る。
「ねえ、今日何日だか知ってる?」
おそるおそる聞くと
「え。ケータイ見ればわかるけど。」
いやいやいやいや!そーいうことじゃないよ?
思い出してよ!
「あ。」
「思い出した?」
「叶翔の誕生日。」
「ピンポーン!!」
彼氏の誕生日普通忘れるか?雪華ってかなりの天然。
でもそこもちょーかわいい!
俺の計画も順調に進みいよいよラストスパート。
「で、再来年俺の18歳の誕生日俺は雪華に」
「なに。」
「指輪と一緒にプロポーズするよ。」
言ったー。言ってしまったー。
雪華の顔を見ると目がめっちゃ開いてた。
びっくりしたんだろうなー。
でも雪華の答えは
「来年からは受け取れない。」
え?まてってなんでー?
しかもまさかの
「別れよう私たち。」
ん?俺さ今未来の約束したよね?
なのに、何言ってんの?別れる?気が付けば俺は雪華にキスしてた。
「嫌だなんで?俺なにがダメだった?言ってくれれば直すからねえ。」
とにかく必死だった。俺には雪華が必要なんだよ。
雪華もそうじゃないの?
雪華が理由を喋ってる。
最初から好きじゃなかった?今も好きじゃない?
じゃあなんで雪華は
泣いてるの?
俺はゆっくり立ち上がり雪華を見た。
涙を拭わないって事は泣いてる事に気づいてないんだろうか。
「今までありがとうでも最後くらいわがまま許してね。」
抑えられなかった。
これからもする予定でいたキスが今日で最後。
だから俺の気持ち全てを込めて雪華にキスをした。
最後のキスはお互いの涙の味でしょっぱかった。
これで終わりなんだな。
「これで終わり。じゃあ俺家に帰るよ。さよなら冬村さん。」
名前で言おうか悩んだけどもう付き合ってないから苗字にした。
これで区切りを付けようと思った。
「さよなら。育田君。」
俺は雪華の顔を目に焼き付け1人寂しく家へ向かった。
帰り道涙が止まらなかった。
俺だけだった。勝手に浮かれて勝手に将来考えて。
雪華の中では最初から、いやもともと何も始まってなかったんだ。
俺こんなに好きって溢れてるのに雪華には届いてなかったんだ。
頑張ってバイトして買ったネックレス。
アクセサリーショップに1人で行くのは恥ずかしかったけど
雪華のためにと思って店員さんに話しかけて
いろいろ見て雪華が好きそうなの選んだんだよ?
喜んでもらえなかった。
きっとゴミ箱いきだな。
そうだ明日アクセサリーショップに行こう。
雪華の事を忘れないように残りの2つ買って俺が持ってよう。
俺は雪華以外なんて考えられないんだから。

「あれ?ないあのシリーズが。」
アクセサリーショップなう。
ピアスと指輪を買いに来たんだけど。
「すいませーん。あの、ここにあったやつってどこですか?」
店員さんに話しかけるのもなれたもんだ。
「昨日から販売を停止しておりまして。」
「え。そうなんですか。」
申し訳ございませんと店員は頭を下げ奥の客へ行ってしまった。
「何か残せるもの。」
なんでもよかった。なにか、なにかないかと店を回った。

「これだ。」
俺は最高な品物を買い大事に家に持って帰った。

家に帰り急いで机の棚に飾った。
それは、光輝いて見えた。
他のアクセサリーとはまた違う輝きを放っていた。
仲良く並んだ二つのアクセサリー。
俺はそれをながめながら泣いた。
水たまりができるんじゃないかと思うくらい。

俺の宝物。雪華の事を忘れないように。
想いをこめて買った「百合の花のネックレス」を
俺は大事に箱にしまった。