リーズは部屋に通されると、ぐったりとベッドに横になった。
別荘からの道程ではレヴはもう一台の馬車に移ったので、それほど緊張することなく乗っていることが出来た。
しかし、ここに着いてからはまた緊張の連続だ。
(…あぁ…レヴ様のご両親にまともなご挨拶も出来なかった…)
そんなことを考えると、リーズは軽い自己嫌悪に陥った。
「リーズ様、お食事の前にご入浴をどうぞ。
今、見てまいりましたらもうお湯の用意もされていました。
……しかし、聞きしに勝るご立派なお屋敷ですね!
そのくせ、レヴ様のご両親はえらぶった所がなくて…いえ、なさすぎですわよね!
サリー様ったらあんなに馴れ馴れしい口をおききになって…」
「サリーさんのことをそんな風に言ってはいけないわ。」
「でも、さっきもリーズ様に…」
「レヴ様もヴェールさんもおっしゃってたじゃない。
サリーさんは口は悪いけど、本当は良い人なんだって。
あのお二人がおっしゃるんだから、間違いないわ!」
「本当にそうなら良いのですが…」
夕食の席はリーズの予想していた通りだった。
サリーは自分とレヴがどれ程仲が良いかを見せ付けるような話ばかりを話した。
レヴはというと、そんな話を特に意に介した様子もなく、淡々とした表情でたまに短い返事を返すだけだった。
(サリーさんはきっとレヴ様のことがお好きなのね…
今までずっと一緒に旅をされてたなんて、うらやましい…
今までだけじゃないわ!
これからも、サリーさんはレヴ様と旅をされるんだわ…
ハッ!…もしかしたら、レヴ様も実はサリーさんのことを…)
そんなことを考えただけで、リーズの瞳は潤み始めた。
食卓に並んだ豪華な食事も、もはやリーズには味がよくわからない。
「……リーズさん!」
「は、はいっ?!なんでしょうか?」
皆の視線が、リーズに注がれているのを知って、リーズは自分の顔が赤くなっていくのを感じた。
「リーズさん、何か考え事でも…?」
「い、いえ。
あ、あの…お料理があまりに美味しいものですから夢中になっていて…」
リーズは咄嗟にそんな嘘を吐いた。
「お気に召しましていただけましたか。
それは良かった。
さっき、レヴから聞いたのですが、リーズさんはお料理がたいそうお得意だそうですね!」
「そ、そんな得意だなんて…」
「お菓子もお得意だそうではないですか。
私は甘い物に目がなくて…どうか、明日はぜひおいしいお菓子を作っていただけませんか?」
「おじさんも物好きだね。
いつも一流のパティシエのお菓子を食べてるくせに、素人の作ったお菓子が食べたいなんてさ。」
「私はパティシィエの作ってくれたお菓子しか食べたことがないんですよ。
こんな可愛らしいお嬢さんが作ってくれたお菓子が食べられるなんて考えると、楽しみで仕方ありませんよ。」
「いえ、私の作るもの等、旦那様のお口にあうわけがありません。」
「そんなことありませんよ。
私もレヴもとても楽しみにしてますから、ぜひ作って下さいな。」
「そうですよ!
リーズさん、皆、楽しみにしてますからね!」
「ヴェールさん…」
「皆がこんなに言ってるんだから、頑張って作らなきゃね!
……あたしは食べないけどさ。」
そう言うと、サリーはグラスのワインを一気に飲み干した。
結局、気まずい雰囲気のまま、夕食は終わった。
別荘からの道程ではレヴはもう一台の馬車に移ったので、それほど緊張することなく乗っていることが出来た。
しかし、ここに着いてからはまた緊張の連続だ。
(…あぁ…レヴ様のご両親にまともなご挨拶も出来なかった…)
そんなことを考えると、リーズは軽い自己嫌悪に陥った。
「リーズ様、お食事の前にご入浴をどうぞ。
今、見てまいりましたらもうお湯の用意もされていました。
……しかし、聞きしに勝るご立派なお屋敷ですね!
そのくせ、レヴ様のご両親はえらぶった所がなくて…いえ、なさすぎですわよね!
サリー様ったらあんなに馴れ馴れしい口をおききになって…」
「サリーさんのことをそんな風に言ってはいけないわ。」
「でも、さっきもリーズ様に…」
「レヴ様もヴェールさんもおっしゃってたじゃない。
サリーさんは口は悪いけど、本当は良い人なんだって。
あのお二人がおっしゃるんだから、間違いないわ!」
「本当にそうなら良いのですが…」
夕食の席はリーズの予想していた通りだった。
サリーは自分とレヴがどれ程仲が良いかを見せ付けるような話ばかりを話した。
レヴはというと、そんな話を特に意に介した様子もなく、淡々とした表情でたまに短い返事を返すだけだった。
(サリーさんはきっとレヴ様のことがお好きなのね…
今までずっと一緒に旅をされてたなんて、うらやましい…
今までだけじゃないわ!
これからも、サリーさんはレヴ様と旅をされるんだわ…
ハッ!…もしかしたら、レヴ様も実はサリーさんのことを…)
そんなことを考えただけで、リーズの瞳は潤み始めた。
食卓に並んだ豪華な食事も、もはやリーズには味がよくわからない。
「……リーズさん!」
「は、はいっ?!なんでしょうか?」
皆の視線が、リーズに注がれているのを知って、リーズは自分の顔が赤くなっていくのを感じた。
「リーズさん、何か考え事でも…?」
「い、いえ。
あ、あの…お料理があまりに美味しいものですから夢中になっていて…」
リーズは咄嗟にそんな嘘を吐いた。
「お気に召しましていただけましたか。
それは良かった。
さっき、レヴから聞いたのですが、リーズさんはお料理がたいそうお得意だそうですね!」
「そ、そんな得意だなんて…」
「お菓子もお得意だそうではないですか。
私は甘い物に目がなくて…どうか、明日はぜひおいしいお菓子を作っていただけませんか?」
「おじさんも物好きだね。
いつも一流のパティシエのお菓子を食べてるくせに、素人の作ったお菓子が食べたいなんてさ。」
「私はパティシィエの作ってくれたお菓子しか食べたことがないんですよ。
こんな可愛らしいお嬢さんが作ってくれたお菓子が食べられるなんて考えると、楽しみで仕方ありませんよ。」
「いえ、私の作るもの等、旦那様のお口にあうわけがありません。」
「そんなことありませんよ。
私もレヴもとても楽しみにしてますから、ぜひ作って下さいな。」
「そうですよ!
リーズさん、皆、楽しみにしてますからね!」
「ヴェールさん…」
「皆がこんなに言ってるんだから、頑張って作らなきゃね!
……あたしは食べないけどさ。」
そう言うと、サリーはグラスのワインを一気に飲み干した。
結局、気まずい雰囲気のまま、夕食は終わった。



