レヴは、大きな門を押し開けて庭へ入っていく。



「ちょっと、レヴ!
勝手に入ってって大丈夫なのかい?」

「君は本当におかしなことを言うな。
自分の家に入って、誰に何を言われると言うんだ?」

レヴは涼しい顔で先頭を歩いていく。
しばらく歩くと白い壁の大きな屋敷が皆の目に映った。



「すごいお屋敷だね!!」

「レヴさんはものすごいお金持ちだったんですね。」

サリー達の会話をよそに、なぜだかレヴはその前を素通りして歩いていく。



「ちょっと!レヴ!
屋敷には入らないのかい?
どこに行くつもりなんだよ。」

「あぁ、そこは私の屋敷なのだ。」

そう言って、レヴはなおも奥へ進もうとする。



「だから、なんで屋敷に入らないのかって聞いてんだよ。」

レヴは不意に立ち止まり、サリー達の方に向き直った。



「君は本当にわからないことを言うな。
そこは私の屋敷だと言ったではないか。
母家はもっと先だ。」



(母家……?)

三人は今一度、目の前の屋敷に目を向け考える。

これがレヴの屋敷だということは、つまりは「離れ」みたいなものなのか?
この立派な屋敷が離れだとしたら、母家とは一体…?

三人は混乱気味の頭を抱えながら、急ぎ足でレヴの跡を追った。



「レヴ、待ってよ。
……さっきの家は、あんた専用の家ってことかい?」

「そうだ。
私が子供の頃、私の遊び場として両親が建ててくれたものなのだ。
小さな屋敷だが、私はけっこう気に入ってずっとあそこで暮らしている。
あの場所からの方が湖がよく見えるからな。
それに門にも近い。」

「……あれが、小さな屋敷…」

それからもなおレヴは奥へと歩いて行く。
まるで森のように木々に囲まれた長い道を…