「そうか…そんなことがあったのか…
それは大変だったのぅ…」

その晩、サリーは、ピエールに今までの出来事を話していた。



「あたし達、明日、西の塔の魔女に手紙を出してこようと思ってるんだよ。
今のところ、行くあてがまったくないからさ…」

「そうか…しかし、心配じゃのぅ…
また、魔石が悪さをしなけりゃ良いんじゃが…」

「そうだね…
だけど、じっとしてても向こうからやってくる場合もあるんだし、それならこっちから出向いてなんとかした方が良いからね。」

「それはそうじゃが…無理はするなよ。
まだヴェールさんの能力も完全に目覚めたってわけじゃあないんじゃろ?」

「それも悩みのひとつなんだよ…
魔石をみつけたとしてもそれをどうやってやっつけるかっていうのを考えると、実はとっても不安なんだよね…」

そう話すサリーの顔に暗い影がさした。



「では、行って来ます。」

次の朝、レヴとサリーはジネットのために近くに住む知人の家に行くという口実をわざわざ作ってピエールの店を出た。

精霊の木まではさほど離れてはいない。
夕方になる前にその場所に着いた。
昨夜書いてきた手紙を精霊の木のポストにいれようとした時だった。



「いいのよ、そんなことしなくても…」

二人が振り返ると、そこには美しい夫人の姿があった。



「あなたは……」

「…どうしたの?おかしな顔をして…?」

「あなたは西の塔の魔女…?」

「………あ…ごめんなさい!
以前、あなた方に会った時はこんな姿じゃなかったわね。」

西の塔の魔女はおかしそうに笑っている。



「とりあえず、私の家に行きましょうか?」

「えっ?!この間来た時、あの家はなくなってたよ。」

「大丈夫よ!あなた方が来るとわかったからまた戻しておいたわ。
今度は前より近いわよ。」

その言葉通り、5分も歩くと小さな家が見えて来た。



「さぁ、どうぞ!」

今度の家は、以前のものよりも新しくモダンな造りの家だった。



「前の家とはずいぶん変わったねぇ~!」

「見た目が変わったから、家も少し変えてみたのよ。どうかしら?」

「良いよ。
あのおばあちゃんの姿も良かったけど、今はすっごく綺麗だね!
もしかしたら、今の姿が本当の姿なの?」

「さぁ、どうかしら…?
でも、誉めてもらえて嬉しいわ…」

「マダム…おひさしぶりです。
実は今日伺ったのは…」