「レヴ…本当に良いのかい?
リーズを置いて旅に出て大丈夫なのかい?」

「そうですよ。レヴさん。
どうかリーズさんのそばにいてあげて下さい!」

「ヴェール…
私は今回のことでよくわかったのだ。
魔石は、必ず、私の身近に現れる…
この世にあといくつの魔石があるのかわからないが、それらをなんとかしない限り、私は必ずその石と関わる運命にあるのだということがよくわかった。
ならば、ここにいても同じこと…
いや、むしろ、私がここにいない方が良いのだ。
もしかしたら、リーズも私と関わることがなければあんなことにならなかったのかもしれない…」

そう言って、レヴは哀しい瞳で遠くをみつめる。



「レヴ…ごめんよ…
私がレヴの家に行ってみたいなんて言い出したから…」

「サリーさん…そうではないと思いますよ。
もしこれが運命の出会いだったとしたら…レヴさんがここに帰って来られなくてもリーズさんとは出会うことになってらっしゃたんではないでしょうか?
今までだって不思議な出会いはいろいろあったじゃありませんか。」

「そうだね…
魔石がなくならない限り、本当に安心できる日は来ないのかもしれないね…」

レヴはサリーの言葉に深く頷く。



「その通りだ。
だから、私は旅に出る。
リーズのこともきっといつか目を覚ましてくれると私は信じている…
もしかしたら、すべてが解決した時に彼女は目を覚ますのではないか…そんな風にも感じているのだよ。」

「レヴさん……
わかりました!
行きましょう!
魔石を探し出し、それによって災いを受けている人と石を救いましょう!」

「そして、ディサさんの娘さんを探し出す事…」

「それはあとでかまいません。
まずは魔石です!」

「…そんなこと言っても、どこに行くかも決めてないんだろ?
あてもないよね…」

「そうなのだ…
以前は西の塔の魔女に『十字架を探せ』という指示をもらって進んだが今回はなにもない…」

「……そうだ!
じゃ、また西の塔の魔女に手紙を出してみようよ!」

「でも、もう家はなかったではないか…」

「馬鹿だねぇ…家なんてあってもなくても西の塔の魔女には関係ないことなんだよ。
第一、『西の塔』自体、最初からなかったじゃないか。」

「そうだったな…!
では、サリーの言う通りにしてみよう!」







「では、父上、母上…
リーズの事をどうぞよろしくお願いします。

「わかってますよ。
出来る限り、あちらのお宅に様子を見に行きます。
なんせ、あなたの可愛いお嫁さんだもの。
あなたも無事で帰って来るのよ…
皆さん、レヴのことをどうぞよろしくお願いします。」

「まかしといてよ!
あたしがついてるから大丈夫だよ!」



四人はまた旅に出た。
まだ行くあてもいつ終わるかもわからない旅へ…

どんなことがあっても途中でやめることは出来ない覚悟を胸に抱いて…


(リーズ…
私が帰る時にはどうか笑顔で迎えておくれ…)