イイコでしょ?

「なぁ。」





「なに?」





視線はお互い画面を見たまま。






「こないだは、ごめん。あんな事して。」





キーを叩く音が、半分止まる。




右側から来る視線が少し哀しげで、俺は見る事が出来ずに、そのままキーを叩き続ける。





「カズにぃ…」





「でも俺さ、諦め悪りいんだわ。」





「…。」






「俺に諦めて欲しいならさ、幸せそうにしててよ。」






「…。」






「んな泣きそうな顔してんなよ。」





視界の端に映る美希は、俯き身体を小さく震わせる。





「奪いたくなっちまうだろ…」













言うべき言葉は他にあるはず。



こんな事言ったって、美希が振り向いてくれるワケない。




だけど抑えきれずに出てしまうのは、あの頃押し殺してきた想いを、十分に伝えてやりたかった。




きっとそうだと思う。







黙り込んで俯いてしまった美希に気付き、キーを叩いていた手を止めて、頭にそっと掌を乗せてやる。






フワフワな栗色の綺麗な髪を、昔みたいにポンポンと撫でてやった。






「リリみてぇ」





笑いながら言ってやると、美希はゆっくりと顔を上げて、沈みきっていた顔をゆるゆると柔らかくした。





「しんどくなったら、俺が居るから。」





「カズにぃ…ありがと。」






二人、目を合わせクスリと笑った。