イイコでしょ?













「あんた、どういうつもり?」






結婚して直ぐぐらい、美希を屋上へ呼び出して問い詰めた事があった。




不安そうに俺の顔色を伺って、




でもそんな態度も全てが演技に見えて。




チッ、と舌打ちをすると、怯えるように一歩後ずさった。






「どういうつもりか聞いてんだけど。なんで偽装結婚なんてしようと思ったの。」





胸ポケットからタバコを取り出して火を付ける。



煙が上がるのを見ながら、愚問だったか、とため息をついた。



こんな事聞いたって、金目当ての奴が本性見せるワケがねぇ。



イライラした。



黙りこくってオロオロしてる美希に。



これ以上一緒に居たら、俺なに言うかわかんねぇわ。






吸い始めて直ぐに、灰皿で揉み消したタバコ。





火の粉が風でコロンと転がり落ちた。






その日は風が強くて、色んな音が風の音で掻き消されて…



でも美希の声だけは、ハッキリと聞こえた。







「バカなんです私。成瀬さん、お見合いから逃げる為だったら誰でも良かったのに。

それ納得して結婚したはずだったのに…一緒に居るとどんどん…好きになっちゃって。」






涙を必死に堪えながら話す姿は、




演技をしているようには見えない。




と、言う事は。







「あんたら、バカ夫婦だ」






俺がそう言って噴き出すのを、目を丸めて見つめていた。