イイコでしょ?

「眺めてばっかいないで、話し掛けてみたら?副社長ったら、ストーカーみたぁ~い♪」





ふざけた顔してヒョイと顔を覗いてやると、左手でグイと引き戻された。





「俺はお前と違って、もっと時間をかけてだな…」





「そんな呑気な事言ってると、直ぐに持ってかれちゃうよ~?」





「えっ?」





意味深な顔をして言ってやると、直ぐに不安な顔を見せる翔ちゃん。




面白いからもうちょっと遊んでやろう。






「気になるぅ~?」





「うぜえ、早く教えろ!」





「しょうがないなぁー。なんかね、美希可愛いからさ、社内のオトコが誘ったりしてんだけど、ぜんっぜん靡かないんだって!

噂では社内に好きな人が居るとか…って聞いてる?翔ちゃん。」






好きな人。



と聞いて思い浮かべたのはきっとあの男だろうな。





「やっぱりあれかなぁ~。あの隣の席の海崎 涼って奴。あの二人いっつも仲良さそうだし。」






多分翔ちゃんも分かってたはず。



美希をずっと見て来たなら尚更。



いつも隣で笑うあの男の存在は気付いてたんだろう。






翔ちゃんの顔を見て、ちょっとイジメ過ぎたかなーと、少し反省した。

















「高橋さん、お疲れ様。」














長い廊下の先で、翔ちゃんが美希に初めて声をかけた。





トイレから出てたまたま見かけた二人。





翔ちゃんのカッコつけた表情に、思わず噴き出して柱の陰に隠れた俺。





こちらに向かって歩いて来てる翔ちゃんをチラリと覗く。





手で口を覆い、ニヤケを頑張って隠してんだけど、垂れた眉が嬉しいって叫んでるし。





一言声かけただけじゃん(笑)





乙女かよ!





と、あとで爆笑しながら突っ込んでやると、思いっきり頭、はたかれた。





だけどその後、ニヤニヤしながらあーだったこーだったと、聞きたくもねぇ話を延々された。