イイコでしょ?

「コレと…コレとコレと…あとコレも。ほら、着てこい。」






敷居が高過ぎて踏み込めなかったセレクトショップ。





翔さんはいとも簡単に私を連れて来てくれた。





煌びやかな服やバッグや靴に囲まれて、場違いにジーパンを履いて来た自分が本当にビンボー人に見えて、すごく恥ずかしくなった。





翔さんをチラリと見ると、雑誌から出てきちゃったみたいなファッションで…





やっぱり自分が翔さんの株を下げてるんだなと、思い知った。






このお店にビンボー人の私に似合う服なんてないよ。





憂鬱顔の私を無視して、翔さんは自分が選んだ服を私に押し付け、試着しろと命令した。





こんなたくさん…





この服、こないだ雑誌でモデルさんが着てるの見たな…





品のある店員さんに連れられて、試着室に足を向かわせながら、そう思った。


















「却下。」









「フン…」









「ダメ。」









「服が泣いてる。」









「次。」









「まぁ…うん。いいんじゃね。」







試着する度に繰り返されるダメ出しに、いちいちため息をつきながら、やっと出たOKサインに嬉しくて思わずガッツポーズをする。






「恥ず…」





と、手で口元を覆いながらボソっと言ったのを薄く聞いて、シュン…とうな垂れる。





似合うよ!とか可愛いね!とか、じゃなくて、いいんじゃね、の一言。





それだけで無意識にガッツポーズ出来ちゃう自分が、虚しい。





試着し疲れて、ソファーにぺたりと座り込んでいると、翔さんは会計を済ませに行ってしまった。





一体いくらするんだろ。





店員さんが服に付いてるタグを取ってくれた時に、チラッと覗いたけど…




目玉が飛び出そうな金額で、直ぐにでも脱ぎたくなった。

















このお店…こないだテレビで紹介されてた。





次行くぞ、と強引に連れて来られたお店。





高級ジュエリーショップ。





お店へ入ると直ぐに、女性店員さんが駆け寄って来て、




「いらっしゃいませ、成瀬様。」





と、にっこり笑いながら頭を下げた。




名前…


よく買いに来るの?


ジュエリーショップに?






その瞬間、胸の奥で何かが黒く蠢いた。