イイコでしょ?

そう。彼はなんだって自分でやってしまう。





私より早く出社するくせに、洗濯も朝食もキチンと終わらせて。





私の分は、下着があるので絶対触らないで!と前にお願いしたら、





「ガキのパンツに興味はねぇ。」





と返された。






ほっぺた膨らませ、不貞腐れた目で睨んだら、






「なんだその顔、一気に老けたぞ。エステ行って来い。」





と、本当にエステの予約を入れられた。





ありがたく行かせてもらったけど…





掃除も家の事も全て、私がやる前に仕事のように完璧にこなしてしまう。





そんな完璧にされちゃうと、私の存在価値が…





彼にとっては本当に偽装であって、まるで私なんかには興味ないんだ。





こんなに辛いなら、結婚なんてしなきゃ良かった。





一緒の空間に居るのに、永遠に触れられないみたい。





家から唯一持って来た布団に潜り込んで、小さく泣いた。

















翌朝、私が起きた頃にはすでに成瀬さんの姿はなかった。





今日は…会議かな?





目を擦りながら昨日作ったシチューを食べようと思い、冷蔵庫を開ける。





あれ?ない。





確かここに余った分置いてたハズ…





おかしいなぁ、と思いながらも、置いてあったパンに手を伸ばした。





コーヒーを淹れようと、やかんにお水を入れていると。





水切りの所にシチューを入れていたお皿が置いてあるのに気付く。





なんでここに?





目を瞬かせながら考える。





もしかして…と思い、恐る恐るゴミ箱を覗く。





はぁ…まさかそこまではしないか。






シチューがなかった事に安心すると共に、ゆるゆると口元が緩んでいく。






食べてくれた?





ウソ…すっっっっっごい嬉しい!!





朝から思い切り叫び出しそうなくらい嬉しくて、その場で綺麗になったお皿を胸に抱いてジタバタと小さくガッツポーズをした。