イイコでしょ?

「親父さん、今だけどっか行かねぇかな。」





「なんでですか?」





「壁一枚じゃ、お前の声が漏れるだろ?」






「……っ」





このお布団、こんなにあったかかったっけ?





成瀬さんと寄り添えば、掛け布団なんて必要ないぐらいにあったかくて、





でもお布団が狭いのを理由に、ピッタリとくっ付いて、厚い胸に頬を寄せた。






私を真っ赤にさせるような言葉ばかり言っては、嬉しそうに笑って。





そんな顔を見て私も嬉しくなっちゃって、真っ赤な顔してクスっと笑った。






「お前さ、その成瀬さんっつーのやめろ。」





眉間にシワを寄せて話す成瀬さんの長い脚は、私の脚と緩く絡んでいる。





「もしかしてお父さんの話聞いてました?」






「前から思ってた事だ。夫婦なんだから、周りの目もあるだろ。」





周りの目、と聞いて少し心が萎んでしまう。



そうだよ。



会社での立場だってあるし、妻が苗字で呼ぶなんて違和感だよね。



それでなくても私、女子社員からあんまり良いように見られてないからな……



玉の輿だなんて言われてるし。





「分かりました。じゃあ何て呼べばいいですか?」





「バカかお前は。苗字がダメだっつってんだから、名前しかねぇだろ。それともドラえもんと呼べ、って言うと思ったか。」





そんなドラえもんだなんて!


そこまで言う必要ないのにっ!!


ムカついてプイとそっぽを向くと、すぐに頭を掌でガシッと掴まれグルリと首を動かされた。