イイコでしょ?

ウチのお父さんとお母さんは、実家の埼玉でお肉屋さんをしている。





昔っから夫婦二人、仲がいいんだか悪いんだか、よく喧嘩をしてはお父さんが家を飛び出して。






どこかでお酒をかっ喰らってはベロベロで帰って来て、お母さんに更に怒られて。






翌日には浮腫みまくったお父さんの顔がお店にあった。






お父さんもお母さんも、この結婚には両手を挙げて万々歳で、突然の話にも関わらず、どうぞどうぞと背中をドーンと押し出された。





偽装結婚で苦しんでるとも知らずに…





呑気な二人だ。





テーブルに移動した二人の前に、フツーのルウでフツーに作ったカレーを並べてやる。





「美希良かったなぁ。こんなイケメンでお金持ちと結婚出来て~」





「お父さんほんとやめて!そういう事言うの!!」





「すっごい愛されてるしなぁ。羨ましいぞ。とーちゃんが結婚したいぐらい!いっただきまーす♪」





愛されてる?



成瀬さんお父さんに何か言ったのかな…



きっと、フォローしてくれたんだろうな。



嘘でも新婚なんだもん。



仲良いとこ見せとかなきゃ心配しちゃうもんな。



そういうとこ、抜かりない、さすが副社長だな。





成瀬さんの隣に座り、チラリと顔を覗いたが、黙々とカレーを食べているだけだった。

















「とーちゃんちょっと、今日泊まって行こうかなー。」





と、ボソッと言ってテレビを見て笑うお父さん。





ありえない。





食器の片付けを中断し、お父さんの元へ、





「それは無理!成瀬さんだって今日はお仕事で疲れてんだから、お父さん居たら休めないでしょ?」





「お前まだ成瀬さんっつってんのか!おかしいだろうがー。夫婦なのに。お前も成瀬だろ?下の名前で呼ぶべきだ!」





最悪…ビール飲んでた。




右手にはしっかりと、冷蔵庫にあったビールが握られていた。





「もうそんな事いいから!早く帰ってよ~!」





お父さんのシャツを掴んでグイグイ引っ張るけど…全然動かないし、しかも…





「お父さんお風呂湧きましたよ?」





腰が抜けそうになった。